女性アスレティックトレーナーとして長く仕事をするために。井上かなえさん

こんにちは。ゆうこりん(@koji_i003)です。

突然ですが、アスレティックトレーナー /トレーナーのキャリアで悩む女性はあなたの身近にいませんか?

女性は特に、年齢が20代後半〜30代になりライフステージが進んでくると、仕事・キャリアのためだけに自分の時間をすべて捧げるのは難しく、いろいろな要素と折り合いをつけることを考える機会が増えてくるのではないでしょうか。

一般的にイメージされるアスレティックトレーナー(AT)の仕事として、スポーツのチームと契約し、シーズンを通して合宿や遠征、試合に帯同してメディカルサポートを担う働き方があります。

しかし以前はそのようなセッティングで仕事をしていても、結婚や出産、子育てを機にチームに帯同するような仕事をやめて、自分のペースで家庭と両立できる働き方に変える女性ATの方も多いです。

そういう方からよく聞かれるのが「私はもう第一線から降りたから・・・」という言葉。

では、

  • ATの仕事の「第一線」とは?
  • 出産・子育てをする女性は「第一線」で働くのは難しいのだろうか?
  • ATのスキルを生かし、プライベートと両立して長く働き続けるには?

▲女性×トレーナーの組み合わせって、弱みなの?

今回は、こんな切り口でATC(アメリカのアスレティックトレーナー)の井上かなえさんのお話をうかがいました。

バスケットボールのチームサポートをするATメインの働き方から、パーソナルトレーナー/指導者として法人を設立され、自分らしく働きながら収入をきちんと得て輝くかなえさん。

ゆうこりん
せっかくかなえさんの個人ジムまでおじゃましたので、パーソナルトレーニングの体験セッションも受けさせていただきました!

スポンサードリンク

井上かなえさんのプロフィール

名前:井上かなえ(いのうえ・かなえ)

美トレ・インストラクター養成講座主宰
一般社団法人フィジカル&ムーブメントトレーニング協会代表理事
パーソナルトレーナー

経歴:

東海大学卒業後、アメリカ・ネブラスカ州にあるネブラスカ大学オマハ校に進学し、アスレティックトレーニングを学ぶ。

ATC取得後、テキサス州の女子プロバスケットボールチームなどでアスレティックトレーナーとして勤務。

2010年に帰国後、国内の女子バスケットリーグ所属チームにてアスレティックトレーナー兼ストレングスコーチに就任。

2011年よりフリーランスとして活動。

資格:

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)
PHIピラティスマスタートレーナー
NASMパフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト(NASM-PES)
NASMコレクティブエクササイズスペシャリスト(NASM-CES)

もっと詳しく知りたい方は、かなえさんの主宰する『美トレ』公式サイトのプロフィールもぜひご覧ください。☟

バスケのATから、パーソナルトレーナーとして独立

▲バスケのチームでATとして働いていた頃のかなえさん

ゆうこりん
かなえさんのアスレティックトレーナー(AT)としてのキャリアは、バスケからスタートしたんですよね。
かなえさん
はい。もともと私も選手としてプレーしていてバスケが好きだったのもあり、アメリカでATになってからもバスケの現場でインターンや仕事をしました。帰国してからも縁があって女子バスケのチームで働いていました。

バスケの現場の仕事はとても楽しかったです。

楽しいけど・・・でも、10年もそればっかりやっていると、飽きちゃう面も正直ありました(笑)。

それに、昔から独立志向も強かったんです。

それで、フリーになっても今までやってきたことを生かした仕事をしようと思い、現在のようにパーソナルトレーニングという形でセッションをするようになりました。

現在は、

  • 自宅スペースの個人ジムと契約ジムでパーソナルセッション
  • 関東学連のバスケの安全講習
  • 専門学校の講師
  • 美トレ・インストラクター養成講座の主宰

など、これまで培ってきた知識やスキルをフルに生かして幅広く活動されているかなえさん。

まだまだ世間に広く認識されているとは言い難いアスレティックトレーナーという職業/専門性をもっと知ってもらうために、私たちも競技スポーツの外の世界に出ていき「自分たちにはこんなことができます!」としっかり見せていく必要があるのかもしれません。

スポーツ医学の専門知識を必要としているのは、なにも競技アスリートに限りません。

以前のATは、働き方の選択肢が少なかった

ゆうこりん
スポーツ現場がっつりの仕事から今のような働き方に変わっていくにあたって、どんな思いがあったのでしょうか?

女性AT/トレーナーの働き方について、よく発信や問題提起もされていますよね。

かなえさん
私が学生だった頃は、アスレティックトレーナー(AT)の働き方ってもっと限られていました。もう本当に、スポーツ現場の第一線で働く!という感じ。

その次に、AT教育がより広まったこともあり、教員になるとか、あるいは病院やクリニックでスポーツリハビリテーションをやるという選択肢も一般的になってきました。

私も大学で教えていた時もありましたが、体育学部の女性の教員って、本当に少ないです。その中で、結婚して子育てもしている人は本当にわずかです

安定しているようで、女性にとって働きやすい職場とは言い難いというのが実際のところではないでしょうか。

ライフステージが変わっても仕事はずっと続けたいと思っていたから、どうしようかな・・・。と。周りの女性ATや女性トレーナーともよくそのような話をしていました。

結局は、従来の働き方だけではどうしても行き詰まってしまうので、私たちの世代は仕事と自分の生活を両立しながらやっていくための、新しいやり方を作っていくことが大事だと考えています。

もちろん、長年スポーツ現場の第一線でフルタイムの仕事をされていたり、トップアスリートのメディカルサポートを担当されている女性ATの方もおられます。

学校や医療機関で、私生活と両立させながら活躍されている女性ATもおられます。

ライフスタイルが変化しても仕事が続けられるように、もともとの職場で新しいポジションを作った女性ATもおられます!

でも、そもそも絶対数が限られたポジションを全員が得られるわけじゃない。

今存在している仕事を獲れるか、無理だからATを辞めるか。という2択になってしまうのではなく、

「これまでの経験や、勉強して得たスポーツ医学の知識やスキルを生かして、社会に価値を提供する場を自分で作る」という選択肢もあるということを、かなえさんは提案し、自らが率先して切り開いています。

仕事をずっと続けるために、できるやり方でやればいい

▲かなえさんのセッションを受ける私。
「首を長くキープ!」ができない・・・

かなえさん
アスレティックトレーナー(AT)という職業には限界があるので、仕事の枠を広げることを意識しています。

ATを目指す若い人に「仕事あるよ!」って言いたいじゃないですか。

よくも悪くも、ATってこういうものってちゃんと教えるがために、そこに固執してしまうという側面もあるかもしれません。

ゆうこりん
たしかに私もアメリカでアスレティックトレーニングを学んでいたときは、勉強したことを生かして働くなら、チームか学校か病院にATとして就職するしかないんだろうな、って何となく思っていました。

それ以外の選択肢として、ロールモデルになる人をあまり知らなかったのもあると思います。

かなえさん
私は日本で大学生になったとき、あるATから「女性のATCは結婚できないし、長く続けられないからやめときなさい」と言われたことがあり、衝撃を受けました(笑)。

でも、なりました。そして今もずっと仕事をしています。

長く続けたいなら、できるやり方でやればいい。というのが私の考えです。

これは、単純に女性がスポーツ現場でずっと仕事をするのは無理だとか、みんな自分で仕事を作って独立しちゃえばいい!という話ではありません。

社会のあり方がどんどん変化していく時代。

「自分は何がしたいのか」を明確にして、スキルを仕事にするためにどうすればいいのか?を一人ひとりが考えることの重要性はますます高まっています。

資格を取り“トレーナー”になったその先へ、何を目指して生きるのか。自分を知る6つの質問

2018-05-10

解剖生理学をきちんと学んだATであることがトレーニング指導の強み

かなえさん
実はチームでアスレティックトレーナー (AT)として働いていたときと今では、やっていることは大きく変わっていないんです。

私たちATは、身体の機能改善が得意ですよね。

たとえば女性がよく気になるお尻の微妙な形とか、ふくらはぎのこのお肉を取りたい!というニーズも、結局はトレーニングで機能改善を行うことで結果につながるんです。

ゆうこりん
私も身体の使い方にクセがあるままスクワットをしてよく腰を痛めたり、歩き方が内股なせいで下肢の筋肉のバランスが悪いという悩みがあるので、そういうところをしっかり評価した上でトレーニングを指導してくれるパーソナルトレーナーは、とても信頼できますね。

スポーツ現場では「障害予防」「パフォーマンスアップ」として行う機能改善のエクササイズが、女性向けのパーソナルトレーニングではバランスのいいボディを作るための「美トレ」エクササイズになる。

クライアントのニーズに合わせてキャッチフレーズ(見せ方)を変えただけで、本質は同じだとかなえさんは言います。

【美トレ・インストラクター養成講座】

彼女のように、ライフスタイルに合わせて仕事をしながら、きちんと成果を出して活躍したい女性パーソナルトレーナーのために、かなえさんは養成講座を主宰されています。

 

▼こんなお悩みを抱える方におすすめの講座です。

  • インストラクター・トレーナーのお仕事に興味はあるけれど、きちんと売上を上げられるか不安…
  • トレーナーをやっているけれど、周りに男性しかいなくて女性向けのトレーニングがわからない
  • 今よりももっと時間もお金も自由になれば…
  • 初めてインストラクター・トレーナーをやろう!と思うけれど、何からやっていけば良いかわからない
  • お客様の身体をもっと女性らしく健康でしなやかなカラダに導けるようになりたい!
  • 今よりもスキルアップしたい!

 

▼詳細は美トレ・インストラクター養成講座のサイトをご覧ください。

気になる方は、ぜひ個別相談会に申し込んでみてください!

女性パーソナルトレーナーのニーズは高い

かなえさん
フィットネスクラブでパーソナルトレーニングをしていたときも、「女性のトレーナー」という理由で指名が入ることがよくありました。

女性のトレーナーからパーソナルトレーニングを受けたい、という女性のクライアントさんはけっこう多いんです。

また、「ピラティス」や「ヨガ」などの枠にはまらずトレーニングを教えられる女性って、実はそんなに多くなかったりします。

ゆうこりん
確かに。私はあんまり気にしませんが、「四角いお尻をプリッとさせたいんです!」とか「ブラにハミ肉が乗っちゃうのをどうにかしたいんです」とかって、あんまり男性のパーソナルトレーナーには正直に言いづらいかもしれません・・・。

女性であることを強みとしてマーケティングしていく方法はいくらでもあります。

スポンサードリンク

女性トレーナーが働きやすい職場を

ゆうこりん
今後のビジョンや目標はありますか?
かなえさん
今後はもっと広い場所を借りて、美トレ・インストラクター養成講座を卒業した方の働く場所も提供していくつもりです。

あと、新しいジムの中には託児所を作ろうと思っていて。

実は以前から興味があって、保育士の資格も取ろうかと考えているんです。

どんどんやりたいことを実現させていく、エネルギーに溢れるかなえさん。

自分自身、自分のクライアント、そして彼女のような働き方を目指す人たちにとってよい仕事を作っていくかなえさんを、これからも応援します!

おまけ:かなえさんのパーソナルを体験しました

▲お気に入りのパイソン柄のレギンスはナイキエンプロイストアで買いました(聞かれてないけど)

そんなわけで、途中にも写真を載せましたが、たっぷり1時間弱お話したあとにさらにたっぷり1時間のパーソナル体験セッションを受けさせていただきました。

女性限定で受け入れているかなえさんのご自宅の1階スペースを利用した個人ジムでは、マシンなどは使いません。

ヨガマット1枚分のスペースと大きな鏡、あとはストレッチポールや膝にはさむ柔らかいボール(よく見かけるけど名前がわかりません!)などをたまに使うのみで、自重のエクササイズがメインです。

コンテストに出るような筋肉を大きくしたい人には不向きですが、かなえさんのセッションのコンセプトは「真の健康といくつになっても動けるしなやかなカラダづくり」

まずは最初に関節の可動域などをチェックし、痛みやクセの原因を評価します。

私の場合は関節の動き自体に問題はありませんでしたが、股関節周囲の筋の緊張による動きにくさがありました。

ゆうこりん
どうしても内股ぎみで歩いてるもんね・・・

エクササイズ指導を受けながら、やたら苦手な動きがあったり。

かなえさん
引く動作は得意なのに、こっちは全然ダメだね(笑)。あと、体幹も弱い!

いつも偏ったトレーニングばっかりしているのがバレバレでした。

▲つらい
(あえての小さめ写真です)

ゆうこりん
いつも使わない(からバランスが悪くなっている)筋肉をじわじわ攻められて、自重でも翌日筋肉痛になりました・・・。

やっぱり定期的にプロからフィードバックをもらってトレーニングするのは大事だな、と実感しました。

かなえさんのセッションを受けてから、一人でトレーニングするときもウォームアップのルーティーンやフォームなどの意識も変わりました。

1回でこんなに変化していけるなら、かなえさんのセッションを定期的に受けたい女性のクライアントさんがどんどん増えていくのも納得です・・・!

まとめ

女性トレーナーが長く働ける仕事をつくるATCは・・・

  • 私生活も仕事も両立させた、新しい働き方のロールモデルとなる
  • 女性トレーナーが活躍する場所もつくる
  • 機能改善で女性の美しい身体つくりをサポート
  • 好奇心旺盛で行動力がある!
  • 自分自身も健康で、いつも輝いている

▲私の姿勢が悪すぎたので、撮り直したtake2

かなえさん、ありがとうございました!

井上かなえさん主宰:『健康でしなやかなベストバランスボディをつくる“美トレ”』公式ホームページ

井上かなえさんのブログ:かなえさんのアメブロ

井上かなえさんのツイッター:@kanaepin

スポンサードリンク

The following two tabs change content below.

ゆうこりん

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある整形外科看護師です。 スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。スポーツイベントの救護、スポーツ医学関連団体の広報担当などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。

ABOUTこの記事をかいた人

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある整形外科看護師です。 スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。スポーツイベントの救護、スポーツ医学関連団体の広報担当などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。