こんにちは。ゆうこりん(@koji_i003)です。
アメリカの多くの大学アスレティックトレーニングルームでは、「Graston Technique®」などのいわゆるIASTM (=Instrument Assisted Soft Tissue Mobilisation)のツールをトリートメントに使っているのを見かけます。
わかりやすくいうと、「筋膜リリース」とよく言われるものの一種でしょうか。
私がアメリカで学生をしていたころもIASTMを活用しているプリセプターによく教えてもらっていたので、当時から興味津々でした。

まずは、私がなぜそこまでIASTMが気になるのかの小話をちょっとご紹介させてください。
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目次
万能ではないけど使い勝手のよいトリートメントのツール

私が実習をした中でも、母校であるブリッジウォーター州立大学(BSU)と、アイビーリーグに所属するブラウン大学ではIASTMのツールをよく使っていました。
初めての実習先、BSUの場合
BSUではGraston Techniqueの資格を持っているアスレティックトレーナー(AT)が2人いたので、彼らが指導しながらGraston(グラストンと読みます)のツール(Instrument)を使っていました。
Therapeutic Modalityの授業の中でヘッドATがゲストレクチャーとして基本的なコンセプトと使い方を教えてくれる回もありました。

▲その日の写真発見。教えている女性がBSUのATルームのヘッドです。みんな懐かしい
厳密に言えば、資格を持っているプラクティショナーしか「グラストンをする」ことができるとは言えませんが、例えていうなら「食品ラップ」をもはや「サランラップ」って言っちゃう、みたいな感じで(サランラップは商品名ですが、有名すぎてラップ=サランラップって一般化されちゃってるようなイメージ)、BSUではこのツールを使ってトリートメントをすることを「グラストンする」って言ってました。
何にも知らなかった当時の私は最初”グラストン”はこのテクニックの一般的な名前だと思っていたので、記録に「膝蓋骨腱にグラストン」みたいに書こうとしたら、「あ〜私たちこれ”グラストンする”って言ってるけど、本当はそうやっていうのは正しくないの。”IASTM”っていうのが一般的に正しい呼び方よ」ってプリセプターに言われたことが印象的だったので、この「アイ・エー・エス・ティー・エム」っていうアルファベットの並びはよく覚えています(笑)。
全米どこでもそうかと言われるともちろんそんなことはないと思いますが、それくらい数多くのIASTMプロダクトの中でもGrastonは圧倒的に認知度とブランド力が高かったといえるかもしれません。
アメリカで一部のアスレティックトレーニングプログラムの認定校では、教授がGrastonの資格を持っており、授業の中でコースを取れるカリキュラムを取り入れていたりするそうです。
2年目の前期、ブラウン大学の場合

一方、ブラウン大学ではGrastonの資格をもっているアスレティックトレーナーはいませんでしたが、コンセプトは学んでいるようで、プラスチック製の似たようなIASTMツール(ぱちもんみたいなやつ)がいっぱいあって、ヘッドATは特にいろんな場面でめちゃめちゃ使っていました。
彼らはそれをScraper(スクレイパー)と呼んでいました。
私はそれまで、IASTMは瘢痕化した傷跡や癒着した軟部組織に対してアプローチするものだと理解していたので、ブラウン大学でのスクレイプっぷりには心底驚かされました。
投げるポジションのフットボール選手がちょっと肩を痛めたときや、ハムストリングスの軽い筋損傷にまで。急性期の怪我の回復を促進するためにガンガン使っていました。

いろんな場所でモダリティの使い方、考え方、トリートメントの手段を見てきた中で、特にこのブラウン大学のフットボール部で実習していたときのIASTMの使い方がとても印象的で、もっとこれについて知りたい!と思いました。
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もしアメリカでアスレティックトレーナーとしてやっていくなら、Graston®を学びたかった

アメリカのアスレティックトレーナー(ATC)も、ATCプラス何かの資格があるなど、自分の得意分野を持つ人が多いです。
例えば、ATC×CSCS(ストレングス&コンディショニングコーチ)でトレーニング指導強めだったり。
ATC×キネシオテープの資格を持っている人もいました。
そしてBSUのヘッドアスレティックトレーナーのように、ATC×Grastonの資格を持ち、グラストンテクニックをオフィシャルに自分の“トリートメントの引き出し”に入れている人もいました。
私も自分のツールボックスに入れたいくらいIASTMが面白いと思っていたので、できればコースを取りたかったです。
・・・もしATCとして、これからも働くのであれば。
Graston®は趣味で取るには高すぎた

本気でやるなら、帰国前にレベル1のコースをとるタイミングが実ははありました。
でも、取りませんでした。
なぜかというと、グラストンのコースってめっちゃ高いんです。とてもじゃないけど、仕事で使う見通しのない人が興味本位で取っちゃうようなノリで手が出せるようなものではありません。
どれくらい高いかというと・・・
レベル1のコース$650(学生$450)
レベル2のコース$695(学生$495)
そしてそのグラストンのツールが、全部で6本あるのですが
コースと同時購入で$1795
コースと別に購入で$2295
私がいたときはもっと円安でしたが、現在のレート1ドル=112円で計算すると、とりあえずレベル1のコースを受けてツールを同時購入する場合
$650+$1795=$2445×112円で・・・
約27万4000円!
が必要です(分割払いもできるはずですが)。

もちろん高いからダメということは全くなく、その分自分の武器として売れるスキルのひとつにするにはいい投資となるでしょう。
でも、私のような状況ではあまり現実的な選択肢とは言えませんでした。

日本生まれの「スキンストレッチ」に出会った!
▲上が「ドルフィン」下が「シーガル」。名前もかわいい
そんな失意を抱えたまま、日本に帰国。
それでも時々IASTM関連の情報をネットやリアルで目にするたび、

と思っていました(どんだけ気になるんだ)。
ブラウン大のヘッドよろしく私もネットで適当なツールを購入できないものかと探してみたものの、やっぱなんかエッジがどうなってるのかとか、誰がどういうつもりでつくったのかとか全然わからないし、購入の決め手になるほど欲しいツールがありませんでした。
ところが、お世話になっているPolar Bear Trainer’s Team代表の浅井さんが【スキンストレッチ】の使い手だという情報を入手。
さらに、ツイッターでも「スキンストレッチのスペシャリストです」という方をよく見かけるようになり(たぶん普段からそういう目で人のプロフィールを見ているからだと思う)、突如としてスキンストレッチは気になるワード上位に急上昇しました。
スキンストレッチは個人的に使うのにちょうどよいツール
▲スキンストレッチを体験。基本的には衣服の上から使用するのだそう
私はコースを受けていないので適当な紹介は控えますが、スキンストレッチは「癒着をはがす」というよりも、「皮膚や浅筋膜に刺激を入れる」という感じです。
実際にやってもらったら、自分でも実感するくらいに可動域は向上しました。快感です。
また私は痛いのがすごく苦手なのですが、痛みが出たり内出血になるほどやるようには推奨されていないのもいいです。
スキンストレッチの認定はレベル3(=スペシャリスト)までありますが、レベル1は「セルフケア」をねらいとしたコースになっているようで、そういう敷居の低さも手が出しやすいですね。
スキンストレッチのいいところ
- お手頃価格
- ステンレス製(たぶん)で高級感があり、イケてる
- 全部揃えてもツールは2種類
- 認定コースもちゃんとある
- 服の上からアプローチできるので、オイルなどでベタベタにしなくてもいい
▲エッジは全て同じなので、両方向に使えます。
一番のネックだったお値段問題ですが、ツールだけで言うなら小さい方の「ドルフィン」は12,000円、よりアドバンス向けの「シーガル」は17,000円(どちらも税抜)です。
興味ない人からしたら高いかもしれませんが(笑)、ちゃんと認定コースとかも設置されたプロダクトとしては良心的な価格だと思います。
セルフケア目的の私には、ちょうどいいIASTMのツールです。
なぜこの記事を書いたかというと、「みんなもスキンストレッチ使った方がいいよ!」という宣伝というよりは「ずっと前からIASTMに興味があって、このたびほどよいツールを見つけて買えたので嬉しい」という話です(笑)。
あとは、トレーナー業界にいる人でなかったらこういう概念に出会うことも少ないかと思うので、セルフケアしたいアスリートやスポーツ愛好家、トリートメントの引き出しを増やしたいセラピストの方などにとっても、面白いと思ってもらえるきっかけになるかもしれないですしね。
興味があるものはどんどん試してみるくらいの方が、人生楽しいですね。
私は今回「ドルフィン」しか買いませんでしたが、使い勝手をどんどん試してみて、本気でやりたくなったらもっと研究してみようと思っています。
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ゆうこりん

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