【Vol.2】アスレティックトレーナーの仕事で感じる「アメリカらしさ」3つ。

こんにちは。ゆうこりん(@koji_i003)です。

アメリカのプロサッカーチームで働いているアスレティックトレーナーの生の声が聞ける!と、初回からたいへん好評をいただいているこの連載企画。

今回は、仕事をする上で「アメリカっぽさを感じることについて、うめきくんにコラムを書いていただきました。

☟うめきくんの仕事がよくわかる、前回の記事はコチラ。

【新連載】アメリカのプロサッカーリーグで働くアスレティックトレーナーとは?

2019-01-03

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他スタッフとアスレティックトレーナーの関係性

うめきATC
こんにちは。うめきあきらです!

私が働いているのはメジャーリーグサッカーの二軍チームで、純粋な二軍選手は15人ほどしかいない小規模な組織です。

したがって、チームスタッフもヘッドコーチ、アシスタントコーチ、チームコーディネーター、イクイプメント(用具)マネージャー、そして私、アスレティックトレーナーを含めて合計で5人しかいません。

トップチームにはアシスタントコーチだけで3人いるので、そのサイズの違いがお分かり頂けるかと思います。

アスレティックトレーナーも”テクニカルスタッフ”の一員

※写真はイメージです。

スタッフの規模の小ささに伴い、自然とスタッフ間の距離も近くなります。

それによってコーチ陣2人とも毎日練習前、練習後に綿密なコミュニケーションを取ることが可能になっています。

私は一軍チームのスタッフと毎日ミーティングがあるのですが、それには一軍のアシスタントコーチもメディカル・パフォーマンススタッフに混ざって参加します。

それでも、一軍のアスレティックトレーナーがヘッドコーチと仕事の話をしているのはほとんど見たことがありません(雑談はありますが)。

一方、私の所属するチームでは、コーチ陣はアスレティックトレーナーもテクニカルスタッフ(通常はサッカーのコーチ陣を指す用語)の一員だと考えていて、私もことあるごとにそのメッセージを強く伝えられます。

私は日本で働いた経験がないので日本との比較は出来ませんが、これは非常に珍しいことだと捉えて仕事をしています。

実際、今まで複数のサッカーチームで仕事をしてきましたが、この様に言われることは今まで働いてきた他のコーチ陣には言われたことがありませんでした。

「状況に応じて対処する」ということ

一番顕著な例が、アスレティックトレーナーとしての試合中に起こる怪我の対応です。

我々の仕事は選手の安全・健康を最優先に考えることです。

しかしながらコーチ陣は私の仕事を理解しながらも、その上で更に「試合の流れに応じた対処」を求めてきます。

詳しくいうと、「勝っているときはフィールド場での処置はいくら時間をかけてもいいから(むしろ掛けてほしい)できる限り時間を殺して、反対に負けているときはできる限り早く選手の怪我に対処し、早急に選手をフィールドに戻してほしい(数的に不利な状況を避けるため)。」というのが彼らの要望です。

サッカーはほとんど止まることのないスポーツなので、怪我で一人人数を欠くだけでも、試合の流れがガラッと変わってしまいます。

このチームで働き始めた当初は、怪我が起こってレフリーがフィールドへの侵入を許可したら、とにかく走って選手の元に行っていました。

しかしある時、アシスタントコーチから「Akira, slow down.」と言われたことがありました。

彼が言いたかったのは「勝っているんだから急ぐ必要はない。」ということです。

それでも慣れるまでは選手の安全を考えるのがアスレティックトレーナーの仕事だから、そんな試合の流れを考えている暇などない!と思っていたのですが(笑)、試合を重ねる毎に状況に応じた対処を自然にできるようになっていきました。

それ以来、選手の安全を第一優先に考えつつも、その上で試合の状況に応じて、例えば処置が必要な選手がいたら(出血等)レフリーに厳しく注意されるギリギリまでフィールドの外に出さずに試合を止めた状態で処置をしたり、ということまで出来るようになりました。

昨シーズンは私にとって2シーズン目だったのですが、コーチ陣に「試合を重ねるごとに、見違えるようにどんどん対応が良くなっていった」と言ってもらい、また一回り成長を感じたシーズンでした。

これはアメリカ、というよりは我々のチームならではかもしれませんが、個人的には「カルチャーショック」と言える経験でした。

アメリカのアスリートのぶっちゃけ食事事情

ハンバーガー、ピザ、ポテトにコーラ。

誰もが容易に想像できるようにアメリカにはジャンクフード、ファストフードが溢れていています。

スポーツ科学に限らず、あらゆる分野で最先端を行く大国ですが、栄養に関していうと結構大雑把な管理がされているところが多いです。

一軍チーム、そして我々二軍チームともに、試合後にはホテルに戻って(場合によっては試合後のロッカールームで)post-game meal (ポストゲーム・ミール=試合後の食事)をとるのですが、その内容は決してヘルシーとは言えないことが多いです。

ピザやハンバーガーのようなジャンクフードに加えて、チキンウィングと呼ばれるフライドチキン?的な、脂っぽいのもが出てくることも多々あります(実は筆者の大好物なアメリカンフード。こんなこと選手には言えませんが。笑)。

私のチームは比較的野菜が多く取れるアメリカナイズされたメキシカンフード(イメージは沖縄のタコライスに近い)が出ることが多いですが、それでも上記のような食事が提供されることも少なくありません。

選手が疲れていても、しっかり食事がとれることを優先

一軍チームの方針としては「コンフォートフード (comfort food)」といって選手が食べやすいものを出すようにしていますが、それは試合後疲れて食欲がないという選手が多く、それでも出来るだけ食事をしてもらうために配慮した結果です。

このようなジャンキーな食事の方が、多少栄養バランスが悪くとも最低限リカバリーに重要な炭水化物やタンパク質は取れますし、食を進めるという点では一理ある気もします(それにしてもジャンキーすぎるよ。。。)。

流石に炭酸飲料が出たりはしないので、そこまで細かく管理しなくても良いと個人的には思っており、この点に関してはあまり口出しをせずに、チームコーディネーターが試合の度にオーダーするものを選手にそのまま食べてもらっている状況です。

日本だったらまずあり得ないpost game mealではないでしょうか。

余談ですが、チームの食事ではクッキーが出てくることが多いのですが(みんなの大好物)、私は冗談半分でクッキーを手に取る選手をみんなの前でチクチク言ってイジったりします(間接的に他の選手にも圧力をかける効果も。笑)。

しかしある時キャプテンが「こんなクッキー1枚食べたくらいで、怪我したり試合に勝てなくなるくらいならサッカー選手辞めてるよ」とこれまた冗談半分で言ってきたことがありました。

色々と言いたいことはありましたが、でも小さいことにこだわりすぎない大らかなメンタリティーが彼らの良いところでもあるなと思った瞬間でした。

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2週間前に合宿地が変更!?スケジュールが流動的すぎる

アメリカ人はスケジュール管理が苦手なのか、行き当たりばったりな人が多い気がします(まめな人も沢山見てきているので、“アメリカ人”が、という言い方が適切かは置いておいて)。

もしかしたら先を見越して予定を立てる、という概念すらないのではないかと思うことも・・・(冗談です。笑)。

なぜか事前に知らされない予定変更にバタバタ!

これはかなり最近のトピックなのですが、我々二軍チームが、急遽一軍と同じくpreseason (シーズン前)キャンプでフロリダに行くことが決まりました。

どうやらテクニカルディレクター(ヘッドコーチの更に上にいる人で、チームスタッフ全員を管理するお偉いさん)の決定のようですが、キャンプが始まる2週間を切った時の出来事です。

我々スタッフは、フィラデルフィアで昨年同様にキャンプを行うつもりで練習スケジュールを立て、用具なども準備していたので、突然スケジュールの立て直しを迫られてしまいました。

しかし一番驚くのは、どうやらこの話は年が変わる前から出ていたらしいのです。

個人的には「じゃあ、どっちでも行けるように二つプランを立てておけば良かった話だろう。。。」と思うのですが、そんなものはafter the partyです(笑)。

何故、元からこの案が出ていたのに、しっかりチームの末端まで話を通してその可能性を知らせておかなかったのか、全くもって理解できません。理解不能です(笑)。

ある意味こういう大雑把なことが日常茶飯事なので、日本人のようなマメな人材が重宝されますし、我々からすると生き残る道をくれてありがとう、と感謝しても良いのかもしれませんが。

これが文化の差なのか、個人の差なのか。びっくりしすぎて笑うしかない出来事でした。

他にも、チーム始動1週間前になってもスポンサーとの契約が決まらない、などということもありました。

まとめ

  • テクニカルスタッフの一員として仕事することを期待される
  • ポストゲーム・ミールにジャンクフードもあり
  • 大雑把なスケジュール管理は日常茶飯事

私は日本で働いた経験がないので、日本の社会とアメリカの社会の違いというのはそこまで肌で経験できていません。

それでも、日本人として生きてきて、その差に驚愕することがアメリカでは多々起こります。

そんなことにいちいちびっくりしたり、ストレスを溜めたりしていると心も体も持たないので(切実に思う)、「まあ、アメリカだし」と割り切って、六年間ここで生きてきて考えられるようになってきた、つもりです(笑)。

私は日本人の中でもより日本人っぽい性格だと思っているので(神経質だし)、きっとこの先どれだけアメリカに長く住もうとカルチャーショックが消えることはないのだろうと思っています。

それでもカルチャーショックというものも日本から出ないとなかなか肌で感じることができないもので、それも私という人間の幅を広げる貴重な経験だと、心から思っています(アメリカにも大変お世話になってるので一応フォローを。。。)。ありがとう、アメリカ(笑)!

つづく。

文/うめきあきら
編集/ゆうこりん

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ゆうこりん

ゆうこりん

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある看護師です。 現在は整形外科で病棟看護師として働きながら、スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。休日にスポーツイベントや大会の救護などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。

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BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある看護師です。 現在は整形外科で病棟看護師として働きながら、スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。休日にスポーツイベントや大会の救護などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。