車椅子ソフトボールの国際試合を観戦!日本の独自ルールと救護事情について。

こんにちは。看護師/アスレティックトレーナー のゆうこりん(@koji_i003)です。

先日、友人に誘われて東京・有明で行われた「中外製薬2018東京国際車椅子ソフトボール大会」を観戦してきました!

▲暑いくらいのいいお天気でした

皆さんは、車椅子ソフトボールという競技をご存知ですか?

私も今回初めて観戦したのですが、車椅子ソフトは現在パラリンピック種目ではなく、アメリカで生まれて日本に本格的に入ってきたのは2012年と、まだ歴史の浅いスポーツなんです。

日本国内のルールでは、健常者も女性もみんな同じチームで一緒になってプレーできるので、Diversity(多様性)のひとつの形としてこれからますます注目されるスポーツであることは間違いないでしょう。

友人の紹介で救護所やケアスペースものぞかせていただいて、とっても楽しめました。

今回はそんな大会観戦レポートをお届けします。

※大会の観戦は無料でした。

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炎天下の会場は多くの人で盛り上がっていました

大会は2日間の日程で行われ、初日は予選を戦い、2日目に前日の結果をもとにカテゴリーをわけ、各ディビジョンごとの優勝チームを決定するという流れでした。

日本、アメリカ各代表チーム、そして北海道や九州からのチームも参戦していました。

私は2日目の午後から会場に足を運びましたが、予想以上にたくさんの人がいてびっくりしました。

フィールドは3つ設営され、選手、運営スタッフ、ボランティアのみなさんの熱気であふれていました。

ストッパーやバットの片付けもみんなで

▲バットを持った男性が手に持っている白いフレームがストッパーです。

競技用の車椅子(チェア)は、病院などで使うものと違ってブレーキがついていないため、バッターボックスでチェアを固定するためのストッパー(写真以外にも色々なタイプがあるそう)を使用します。

車いすソフトボールの試合は、ショッピングモールの広い駐車場などが会場となることもあるそうで、地面が平らでなかったりするときにチェアが動いてしまうのを防止する必要があります。

今回アメリカ代表の試合ではなぜかあんまりみんな使っていませんでしたが・・・上手いと、もうそういうのいらないのでしょうか(笑)?

バッターが出塁したら、チームメイトがホーム周辺に散乱したストッパーやバットを回収し出てきます。お互いサポートしあっていてとても和気あいあいとしたいい雰囲気でした。

ダイバーシティを身近にする、日本独自ルール

▲大会パンフレットの1ページ目(よれよれですみません・・・)。

日本の大会では、健常者や女性も同じチームでプレーできるという独自のルールがあります。

大会パンフレットにはルール説明のページもきちんと設けられていました。馴染みのないスポーツを観戦するときは、こういったルールの概要が載っていると何が起こっているのかも理解しやすく、とてもありがたいですね。

ここで、日本独自のものも含めて車椅子ソフトのルールの要点をまとめると・・・

車椅子ソフトボールのルール

  • 1チーム10人の選手で試合を行う。
  • クラスQ(頚椎損傷、またはそれに準ずる上肢障がいのある者)を最低1人入れなければならない。
  • クラスQの選手が不在の場合は9人でプレー。
  • 5回10点コールド、最大7イニングまで。
  • 全打席1ストライク1ボールから開始する。
  • 2ストライク後のファウルはアウトとなる。

また、クラス分けについては

車椅子ソフトボールのクラス分けについて

  • 試合に参加する選手の持ち点が21点を超えてはならない。
  • 小数点は切り捨て。
  • 障がいに応じてクラスⅠからクラスⅢに分類される。
  • クラスQ(頚椎損傷など)は0点。
  • クラスⅠ:1点。腹筋、背筋の機能がないもしくは弱く、座位バランスが悪い(主に損傷部位がT-7以上)。
  • クラスⅡ:2点。腹筋、背筋の機能があり、バランスが保てるが、下肢の機能および回旋動作が弱い(主に損傷部位がT-8からL-2)。
  • クラスⅢ:3点。下肢の機能があり、回旋動作も十分にできる(主にL-3以下、または下肢切断。健常者も含む)。
  • 女子選手はそれぞれの点数からマイナス1.5点とする。

となっています。

そのため、ソフトボール経験者の女子選手なども多いようで、各チームで活躍する女性の姿を多く見かけました。

男子も女子も、健常者も障がい者も一緒になって同じ条件のもとでプレーするこの環境、なかなかないものだと思います。

大学のゼミ(研究室)でチームを結成しているところもあるようです。みんな一緒に4年間全国で戦うって、なんだかすごくいいですね。青春・・・!

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やっぱり気になる救護事情

▲友人の看護師ともみさん(写真右)。アメリカで行われた国際大会にも帯同したそう

さて、スポーツメディスンを取り上げるメディアである『スポメディ!』としては、このような障がい者スポーツの大会におけるメディカル体制についても非常に気になるところです。

ゆうこりん
実は今回の大会のことを知ったのも、運営として関わっている看護師のともみさんからお聞きしたからです。暑い中お疲れ様でした!

救護体制の整備のため、看護師や理学療法士がスタッフとして参加

車椅子ソフトの大会を運営されている方が、イベント開催にあたって救護体制を整えたい・・・と人を探していたところ、勉強会で知り合った、スポーツ分野の勉強をされている看護師のともみさんに声をかけ、理学療法士の方と一緒に継続的に車椅子ソフトボールの大会救護の活動をされることになったそうです。

車椅子で生活している方へのケアとして、褥瘡(じょくそう)対策は必須です。こういうのはいわゆるトレーナーよりも、病院や施設で医療処置を行う看護師の得意分野かもしれませんね。

またコンクリートのフィールドで試合を行うことも多く、出血などの外傷処置が必要となることもよくあるそうです。

医療スタッフが運営から関わるメリットは大きい

▲ディスポ手袋などの衛生用品もばっちり

▲ベッドではありませんが、横になって休めるスペースも確保されていました

この大会自体は、今年で2年目の開催です。

看護師のともみさんは昨年度から救護スタッフとして参加されており、前回の反省を生かして少しずつ救護所内の物品なども揃えてこられたとお話されていました。

ゆうこりん
私も以前にこのようなスポーツの大会の会場トレーナーとしてお仕事をさせていただいたことがありますが、運営の方だけでは「メディカル体制を整えるために、何を準備すればいいのか正直あんまりわからない」という声も聞きました。

やはり大会当日だけ医療スタッフやトレーナーの人員を外から確保するのではなく、この車椅子ソフトボールの大会のように企画の段階から救護にかける予算も確保して、専門知識がある人のノウハウを準備から取り入れていったほうが確実にいいと思います。

たとえば救護に使用する物品の準備もそうですが、何かあった際の搬送方法の確認や、連絡先のフローチャート、万が一の心肺停止に対応するスタッフへ最低限のトレーニング、可能であれば参加される選手へ予想される健康トラブル予防の指導(例:熱中症対策)など、人が大勢集まるスポーツイベントを本当の意味で安全に開催するためには、ハード面だけでなくソフト面から事前に取り組めることはたくさんあるのです。

何かあってからどうするのか考えるのでは、必ず対応は遅れてしまいます。

救急車をただ待つことしか知らないと、救えたはずの命が救えなかった・・・なんていうことも起こり得ます。

このような大会で活躍される救護スタッフの方々とも協力して、「スポーツセーフティー」の考えももっと広めていきたいですね。

汗をかけない選手へのケアも

▲氷嚢でクーリングしたり、霧吹きで水をかけたりしています。

脊髄損傷の中には、汗をかくことができず、体に熱がこもって体温調節ができない人もいます。

この日のように長時間炎天下でスポーツをする際には、健常者以上に熱中症対策が必要です。

水分補給を促すだけでなく、十分な量の氷を確保してクーリングをしたり、霧吹きなどで水をかけたりして対応されていました。

☟内側から体を冷やす「アイススラリー」の記事も参考にしてみてください。

【熱中症対策】ポカリスエットのアイススラリーってどこで買えるの?味は?

2018.09.08

トレーナー/PT/柔整師さんによるコンディショニングブースも人気

▲アメリカ代表の選手からも大人気!

救護テントのお隣には、鍼や電気治療、マッサージなどが受けられるコンディショニングブースも!

このように、疲労などをケアしてもらえるスペースが試合会場にあるのはとてもいいですね。

救護所よりも気軽に立ち寄って、コミュニケーションを取る場にもなりそうです。

救護テントをのぞいていたら「どうですか?」と声をかけていただいて、ちゃっかり私もマッサージを体験させていただきました(笑)。

▲夜勤明けでガチガチの背中〜肩まわりをほぐしていただき、とてもスッキリしました

前述のともみさんも、「ふらっと休みに来てもらえる救護所、なにか困ってもここに来たら解決する!みたいな救護所を目指したい」とおっしゃっていました。

救護所×コンディショニングブースの組み合わせは、個人的にすごくいいと思います。

みなさんフレンドリーで、色々お話しさせていただきました。

まとめ

▲初日の始球式は元AKBの倉持明日香さんが務められました。話題性の作り方も素晴らしい

ゆうこりん
10月とは思えない暑さでしたが、会場に来れて本当によかった!

スポーツが持つ興奮やエネルギーって、やはりその場に足を運んで初めて体感できるものだと改めて実感しました。

そして野球大国・アメリカを代表する選手たちのパワー、スピード、スキル、賑やかさ(笑)は圧倒的でした。

彼らのはんぱないオーラを見ていると、「障がい者」へのイメージが大きく変わる人も多いのではないでしょうか。

車椅子ソフトボールについてもっと知りたい方に、おすすめのサイトはこちら。

▷中外製薬のサイト
▷関東車椅子ソフトボール協会のサイト

▲チームUSAのベンチ。みんなでかい

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ゆうこりん

ゆうこりん

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある看護師です。 現在は整形外科で病棟看護師として働きながら、スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。休日にスポーツイベントや大会の救護などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。

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BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある看護師です。 現在は整形外科で病棟看護師として働きながら、スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。休日にスポーツイベントや大会の救護などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。