【旅するアスレティックトレーナー】トレイルランレースの救護活動レポート in石川県

こんにちは。ゆうこりん(@koji_i003)です。

先日、Polar Bear Trainer’s Teamの活動として『2018 OSJ山中温泉トレイルレース』の救護チームに参加させていただきました。

ゆうこりん
私はこれまで、少しずつ様々なスポーツのメディカルスタッフの経験を積んできましたが、「トレイルランニング」などのアウトドアスポーツは見るのもその場に行くのも初めてでした。

競技を行うために設計されたフィールドやアリーナと違い、舞台はほんものの自然の中。

アスレティックトレーニング学生の実習などでは出会うことが少ない症例や状況、学校では教えてもらえないような知識が必要とされることを身を持って体感したので、トレイルランレースの救護活動の様子をレポートします。

スポンサードリンク

10時間以上かけて山を駆け抜けるレース

▲朝5時、スタート直後。温泉街から山へと入っていきます

『2018 OSJ山中温泉トレイルレース』は、80Kの部と30Kの部がありました。

有酸素運動苦手マンの私からすると80kmも山の中を走るなんてすでに全然意味がわからないのですが、世の中にはフィニッシュまで数日かかるような、もっともっと長い距離のトレイルレースもたくさんあるそうです。人間ってすごい。

今回は途中から熊出没によるコース変更もあり、後半の人は異なる条件で走ることになりましたが、一番早い選手で10時間17分。完走した中で最後の選手が帰ってきたのが、スタートから16時間53分後でした。

ゆうこりん
ながっ!過酷っ!

以前『スポメディ!』でもご紹介させていただいた、「白くま隊」ことPolar Bear Trainer’s Teamのスタッフがボランティアのみなさんと協力しながらメインで救護を担当されていました。

【通年インターン募集】アウトドアスポーツでアスレティックトレーナーの経験を積んでみませんか?

2018-05-02

コースは本部がスタート/フィニッシュで、途中に関門が4つ、エイドステーションが4つ設置されていました。

2018 OSJ山中温泉トレイルレース公式サイトより引用

最初こんな図見てもぜんぜんイメージできなかったけど、前日に下見に行かせてもらったら「こんなとこ走るの、やば」としか思えませんでした・・・。

朝5時スタート!事前の準備がカギ

▲出走直前。スタート地点、本部テントの様子

80Kの部のスタートは朝5時。選手の集合は3時半でした(もはや私にとっては”昨日”)。

そのため選手の受付やルール説明などもすべて前日に行われます。

私たち救護スタッフも前日入りして、ミーティングと各関門や救護所のロケハンを行いました。

ゆうこりん
特に私は初めてのことだらけだったので、事前に各配置の場所の様子や、そこまでの道のりを目で見ておくことが全体像をつかむのに必須でした!

どのポイントまでにどんな道のりを選手が通過してくるのか、物品やリタイア者の搬送に車が来るまでどのくらい時間がかかるのか、水道はあるか、または近くに降りれる沢があるか(これ重要)、日陰で休めるスペースはどのくらいあるか、トイレはどこにあるか、携帯の電波は入るか・・・など、変化し続ける状況に応じて連携を取るために頭に入れておくべきことがたくさんありました。

山の中を走るレースでは、どこでも簡単にリタイアできるわけじゃない

▲いちばんきつい山に入る前の最後のエイドステーション(コース地図のAS③)の下見の様子。
ガッタガタの山道の奥で、この地面がひらけたスペース以外、周りに何もありませんでした。
携帯も当然ながら圏外。

このエイドをすぎて一度山に入ってしまうと、もう途中で動けなくなっても車は出せません。

白くま隊・代表の浅井さんからは、以前このような山の山頂で動けなくなった人がいて、救助のヘリを要請したことがある。というお話もうかがいました。

ゆうこりん
ヘリもたくさん台数があるわけではないので、運悪く待機しているヘリがなかったら誰も助けにいけず、本当に危険な状況になりかねません。

トレーナー(救護スタッフ)がストップをかける権限があるわけではありませんが、山越えできる体調でないランナーはここでやめておかないと危ない、という認識を持ってのぞむことが大切です。

熱中症対策に水場の確保は必須

▲第4関門(CP④)そばには沢の水が出る水道がありました。

熱中症になったとき/なりかけたとき、まずやるべきことは「一刻も早く体を冷やすこと」でしたね。

そしてそのためには、氷で首やそけい部を冷やす・・・のではなく、「全身を水につける」または「全身に水をかけ続ける」必要があります。

炎天下の山の中を長時間走るレースでは、飲み水のほかにこういった大量の水の確保が明暗をわけるといっても過言ではないでしょう。

水道がないところでは、近くに沢が流れているので選手はそこで自然の水風呂に全身浸かって体を冷やします。

▲自然の水風呂の例。どんどん浸かってください

最初の配置は前半のエイドステーション

スタートをみんなで見送ったあと、私はまず白くま隊・代表の浅井さんと一緒に一番最初のエイド(AS①)の配置につきました。

山をひとつ越えたコースの序盤だったため、もともと体調が悪い人など以外は、水分補給をしたりトイレに行ったらすぐに次の山へ向けて元気よく走り抜けて行きました。

▲白くま隊・代表浅井さん。エイドステーションのセッティング中

自然の中で、思いがけない怪我に注意!

1つ目の山の後半に、どうやら鉄の棒(?ランナー談)のようなものが草木にかくれて飛び出している場所があったらしく、数名がそこで足を切ったりするという怪我がありました。

「足をひっかけて・・・やっちゃいました〜。」

とエイドにやってきた女性。もともと巻いていたテーピングなどを全部はがすと、バックリと皮膚が裂けていました・・・。

▲キレイに傷が治りますように。

これは病院で処置をしてもらう必要がありそうですね。

応急処置のみ実施して、この方はここでリタイヤされました。

スイーパーと呼ばれる、最後尾のランナーに伴走するスタッフを見送ったらエイドステーションを撤収し、それぞれ次の配置に向かいます。

スタッフ間の連携を取りながら、配置移動

ゆうこりん
この時点でもう朝起きてから7時間くらい経っていましたが、まだ午前中(笑)。1日長いと有意義だな〜と思いました

一度本部に戻ってお弁当をいただいてから、第一関門の撤収を終えて戻ってきたスタッフの方と一緒に飲み水を積み込んでから、次の配置場所へ。

その間も、各ポイントに配置されているスタッフから状況報告がどんどんとんできます。

▲第3関門(CP③)の様子

基本は無線で連絡を取り合っていましたが、電波が悪くてつながらない場所もあり、携帯も使いながらつながる場所どうしで伝達しあってサポートしたりしていました。

とにかく熱中症に注意!!

午前中は風がふくと肌寒かったりしましたが、午後になり、日が高くなってくると日陰がない場所はめちゃくちゃ暑かったです。

小さいテントしかないエイドでは、ブルーシートをつかって日陰で休める場所を作ったりしていました。

▲そのへんにあったもので気持ち程度の日陰を作ってみました

エイドではなく関門には、子供用のプールや大きなバケツを用意して頭から水をかぶったり、熱中症でふらふらしている人には全身浸かってもらったりしていました。

トレイルランナーの栄養補給事情

地域の方もボランティアとしてサポートしてくださったり、地元の名産などの差し入れをたくさん用意してくださっていました。

▲一番左は地元の名産「娘娘(にゃあにゃあ)饅頭」。おいしいよ

  • スポーツドリンク
  • コーラ
  • オレンジ、トマトなどのフルーツ
  • マンゴーやベリー、ナッツなどのドライフルーツ
  • 地元の名産「にゃあにゃあ饅頭」
  • そうめん
  • 大根おろしのおもち

などなど・・・。

意外だったのが、トレイルランナーは「コーラが好き」ということ。

走りながら炭酸、お腹膨らんじゃいそうですけどスッキリしていいんでしょうか?

中には水と割って、マイボトルに詰めて先へ進まれる方もおられました。

コカ・コーラの皆さん、トレイルランレースはスポンサーになる価値がめちゃくちゃあると思います(笑)。

▲みんな大好きコカ・コーラ!

スポンサードリンク

ようやくレースも後半へ

▲第4エイド(AS④)の様子。この次がもうゴールです

さて、私たちが2つめの配置についたのは午後2時前ですが、この次がもうゴールなのでほぼレースが終了するまで待機することになります。

ここまで来ると、もうあんまり大きな怪我や体調不良の人はいませんでした。

ヤカンでかぶり水を手伝ったり、コース変更の説明をしたり。

最初の配置では私は浅井さんと一緒でしたが、ここからはみんな違う場所に移ったので、白くま隊メンバーは私ひとりになりました。

でも、同じ配置の他のスタッフと7時間くらい一緒にいたので、一緒に相談したり、協力して役割分担したり、トレイルランのことを色々教えてもらったりしてすごく仲間意識が生まれました(笑)。

みんな本当に元気で明るく、いい人たちでした。

自分自身がランナーじゃなくても、山の経験もなくても、とても楽しかったです。

日没後になると、今度は低体温に注意

トップの選手はまだまだ日が高いうちに通過されました。

また、序盤は30Kにエントリーした選手がぞくぞくと通過していきました。

時計は午後6時をまわり、日が沈むと一気にあたりは真っ暗に。気温も下がってきました。

▲お祭りの屋台みたいに、暗闇に煌々と光を放つエイドがぽつん。

この日は1日を通してとてもいい天気でしたが、たとえばもっと天気が悪い日や気温の低い時期に開催されるレースでは、夜でなくても途中で立ち止まって少し休憩していただけで一気に体温が下がり、低体温症になってリタイア(自力で下山も困難)という場合もあるそうです。

「低体温症」対策と対応も、普段のフィールドスポーツの現場ではなかなか見る機会の少ない症例ではないでしょうか。

アウトドア環境でサポートをするトレーナーは、改めて勉強しておきたいですね。

最後のランナーのフィニッシュをみんなで見届けて、終了

▲午後10時すぎ。選手、スタッフ、地元の皆さん長い1日本当にお疲れ様でした。

最後のエイドをスイーパーと選手が通過したら、その場を片付けて私たちは車で一足先にフィニッシュラインがある本部に戻りました。

長い戦いを終えた選手のみなさんやサポートの方々が、ここでも地元の方が用意してくださったあたたかいカレーや豚汁などを食べたり、温泉に入ったりしてくつろいでいました。

最後のランナーの到着をみんなで拍手で迎えて大会が終了。

すごく充実した1日でした。

ゆうこりん
大変貴重な経験でした。白くま隊のみなさん、スタッフのみなさんありがとうございました!選手のみなさんお疲れ様でした。力強く前に進む姿はとてもかっこよかったです。

自分も週末にトレラン救護をやってみたい!そんなあなたにお知らせ

私が今回救護活動に参加させていただいた、「白くま隊」ことPolar Bear Trainer’s Teamでは、全国からインターンを募集されています。

【通年インターン募集】アウトドアスポーツでアスレティックトレーナーの経験を積んでみませんか?

2018-05-02

↑こちらの記事でも以前ご紹介させていただきましたが、記事内にある「Polar Bear Trainer’s Teamのフェイスブックページ」からメッセージを送っていただくと、白くま隊とコンタクトが取れます。

アウトドアスポーツイベントの現場は全国様々な場所にあります。

「旅するアスレティックトレーナー」たちと、学校ではなかなか経験できないアウトドアスポーツの世界でトレーナー活動をしてみたい!という熱意のある方は、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

改めて、『2018 OSJ山中温泉トレイルレース』でお世話になったみなさま、ありがとうございました。

スポンサードリンク

The following two tabs change content below.
ゆうこりん

ゆうこりん

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある看護師です。 現在は整形外科で病棟看護師として働きながら、スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。休日にスポーツイベントや大会の救護などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。

ABOUTこの記事をかいた人

ゆうこりん

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)でもある看護師です。 現在は整形外科で病棟看護師として働きながら、スポーツ医学やアスレティックトレーニングをテーマに空き時間に気軽に読めるメディアを運営。休日にスポーツイベントや大会の救護などの活動も行なっています。 内科・耳鼻科・眼科混合病棟→米大学院→スポーツ整形外科。